胎盤が細胞組織再生などの医療に活用されていることは有名だと思いますが、羊膜(ようまく)というものも注目され始めています。
治療を助ける「魔法のシート」のような効果に期待がかかっています。
羊膜とは
羊膜(ようまく)とは、子宮内の赤ちゃんを包んでいる薄い膜のことです。英語ではamniotic sacと呼ばれます。
(出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171113-00050057-yomidr-sctch.view-000)
羊膜内は羊水で満たされており、赤ちゃんの体の保護、成長のサポートをしています。
出産時には「破水」という現象が起きますが、これは羊膜が破れ、羊水が体外に出ているためです。
通常は出産 “直前” に破水が起きるのですが、非常に稀な確率で破水せずに出産されることがあります。
mail Onlineという海外ニュースサイトのこちらの記事を(※少し閲覧注意)見ていただくと、羊膜がどのようなものなのかがわかります。
再生医療での活用
この羊膜は、傷やケガの治りを早めることができ、炎症などを抑え再発予防効果があるとされています。
特に
- 翼状片(よくじょうへん)
- 角膜表面のやけど、損傷
- 目の腫瘍
などの眼病やケガに羊膜移植が期待されています。
この羊膜を使った目の治療は、アメリカでは1995年頃から、日本でも2003年頃から広がりつつあります。
日本では2014年に治療が難しいとされる目の病気に対して、この羊膜移植が保険適用されています。現在では約60の国内医療機関によって羊膜移植が行わています。
翼状片については以下記事で解説しています。
帝王切開による提供
普通分娩では破水によって羊膜が損なわれてしまうため、帝王切開の出産を予定している妊婦から提供してもらいます。
1回の出産で20~30人分もの移植用羊膜を確保でき、さらに冷凍保存によって2年間保管できます。
羊膜移植の仕組み
傷や穴を埋めたり、手術時の炎症を抑えたりする目的で羊膜が使われます。
(出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171113-00050057-yomidr-sctch.view-000)
上記例②のようにコンタクトレンズのように一時的に覆うことでも、角膜組織の再生を早めることができるという働きがあります。
これまで行われてきた角膜移植ではドナー不足や、角膜移植されたとしても拒絶反応を起こす可能性がありました。
しかしながら羊膜移植では、もともとの角膜を残したまま再生を図ることができ、なおかつ拒絶反応も少ないとのことです。
他の部位
羊膜は、目以外の多くの部位でも治療サポートの効果があります。
皮膚熱傷後の被覆や臍ヘルニアの修復、人工膣、腹部手術の際の癒着防止、食道・気管・血管・皮膚・鼓膜などです。
最後に
胎盤同様、これまでは羊膜は捨てられていました。
しかしながら近年こうして再生医療に役立つことがわかり、大きく活用されています。
子供、そして母親のパワーは無限大であるとあらためて思わざるを得ません。
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