【成分解説】ゼアキサンチンとは?効果や効能、摂取方法は?

このページは、職歴10年の薬剤師によって執筆されています。

ゼアキサンチンとは

ゼアキサンチンは自然界に存在しているカロテノイド色素の一種で、ルテインと同じく黄色の色素を持っている物質です。

緑黄色野菜に多く含まれており、紫外線などの酸化ストレスから植物の体を保護しています。

植物色素として人の目の中に確認できるのは、ゼアキサンチンとルテインの二種のみですが、体内での合成はできず、加齢やストレスによって徐々に減少していくため、食事などから摂取する必要がある栄養素です。

ルテインとの関係性や違い

ゼアキサンチンとルテインは、分子式は同じでも共益二重結合の位置に差がある構造異性体という関係で、わかりやすくいえば兄弟のような関係の物質です。

ルテインは黄斑の周辺部に多く分布するのに対し、ゼアキサンチンは黄斑の中心部に多く分布しており、どちらも強力な抗酸化作用と光吸収作用によって、光からのストレスを緩和するように働きます。

ルテインは体内に摂取されると、一部が代謝されてメゾゼアキサンチンという物質に変化しますが、このメゾゼアキサンチンは、ゼアキサンチンの立体異性体なのです。

構造式は同じでも立体的に考えれば絶対に重なり合わない物質のことを立体異性体といい、詳細は省きますが、双子のような関係の物質であるため、その効能はほぼ同じものだと考えてください。

ゼアキサンチンは摂取しなければ減少していきますが、ルテインさえ摂取していれば、その代理となるメゾゼアキサンチンが生成されるため、不足する心配はないと考えてよいのです。

ただし、加齢性眼疾患研究においてルテイン10mgに対してゼアキサンチン2mgを併用することが、もっとも目に対する効果が発揮されたという報告があるため、一概に服用の意味はないとは言えません。

ゼアキサンチンの効果

ルテインばかりが有名になり、ゼアキサンチンはあまり紹介されることはありませんが、実は目に対する効果は、ルテインよりも優れているという研究成果が存在します。発揮される効果はルテインとほぼ同じものですが、それぞれについて確認していきましょう。

ブルーライトからの保護

ブルーライトを人間の目が感知すると、活性酸素などの酸化物質を発生してしまい、目の中にある光を受容するタンパク質(ロドプシン)が変性してしまうことが判明しています。

ゼアキサンチンは、血液中から優先して網膜に取り込まれて黄斑に蓄積し、ブルーライトの光を吸収してダメージを軽減します。

ゼアキサンチンなどのカロテノイド色素は440~480nmの波長の光を吸収する性質があり、パソコン・スマホなどから発せられるブルーライトの波長は400~500nmとみられています。

ブルーライトの中でも特に強度が高い波長域は450nm付近と推察されていることから、発せられる波長域の大部分をゼアキサンチンはカバーしており、特に強度が高い部分の波長域をしっかりと吸収しているのです。

吸収できなかった光の刺激によって発生した活性酸素などの酸化物質も、強力な抗酸化作用によって緩和し、ブルーライトから目を保護する効果を発揮しています。

白内障の予防改善

ゼアキサンチンはルテインと同じように、その強力な抗酸化作用によって水晶体の変性を抑制する効果を持っています。

白内障は改善することはない疾患とされており、病院での治療も進行を抑えるためのものなのです。

ゼアキサンチンを使用したとしても白内障が改善されることはほぼ期待できませんが、タンパク質の酸化変性を予防して進行を抑制する効果があるという報告があり、ごく一部の特殊な体質を持つ人では多少回復したという報告例もあるようです。

緑内障の予防改善

緑内障は視神経の圧迫によって、視野の欠損などが起きてしまう疾患です。

進行してしまえば改善することはできないとされており、病院での治療も状態を維持するために行っています。

ゼアキサンチンは視神経が集中している黄斑の、さらに中心に効果的に分布されることにより、視神経に対するストレスを軽減し、働きを活性化する効果が期待できます。

ただし、決して改善する効果があるわけではないため、眼科治療のサポート的な役割のものという考え方が主流となっています。

加齢性黄斑変性の予防改善

加齢性黄斑変性は、加齢による酸化ストレスによって黄斑が変性し、視界のゆがみや視力の低下が起きている状態です。

その詳しい発生機序は解明されていませんが、抗酸化作用のある栄養素を摂取することにより、症状の予防と進行の抑制が期待できます。

ただし、ゼアキサンチン単独で摂取した場合の効果に関しては疑問が残っており、ルテインの効果を相乗的にアップするというのが主な作用と言われています。予防を目的としてゼアキサンチンを使用する場合には、ルテインと併用することが一般的なのです。

抗酸化作用

ゼアキサンチンの最大の魅力は、その強力な抗酸化作用にあります。

ゼアキサンチンも含め、カロテノイド色素にはほぼすべてに抗酸化作用があり、その効果は共益二重結合によってもたらされています。

共益二重結合が酸化物質の持つエネルギーを発散させることにより、人体への有害な作用を緩和するのです。

ゼアキサンチンはカロテノイド色素の中でも、群を抜いて強力な抗酸化作用を持っており、その効果はルテインよりも強力で、黄斑においても中心部を保護する役割を担っています。

人体は普通に生活しているだけでも様々な酸化ストレスにさらされているため、放置しておけばダメージが蓄積してしまいます。加齢によってルテインやゼアキサンチンなどの抗酸化物質が減少してしまっていれば、さらに傷害が広がってしまうのです。

生涯にわたって健康を維持するためには、外部から抗酸化作用のある栄養素の摂取が不可欠であり、ゼアキサンチンは強力な抗酸化作用を持つことから、特にオススメできる栄養素だといえるでしょう。

その効果は目のみに留まらず、一部では肌の酸化防止やがんの発生抑制効果、糖尿病に対する効果も示唆されており、研究が進められています。

摂取方法

ゼアキサンチンは強力な抗酸化作用と光吸収作用によって目を保護する効果をもった栄養素です。あえて外部から摂取しなくても、ルテインを摂取することによって疑似的なメゾゼアキサンチンは体内で合成されますが、ルテインと同時にゼアキサンチンも外部から摂取することの健康効果が報告されているため、その摂取方法を確認していきましょう。

自然食品からの摂取

ゼアキサンチンは自然界に存在している色素の一種であるため、様々な食品に含まれています。

特にケールやホウレン草、パプリカなどの緑黄色野菜に多く含まれていますが、ルテインよりもさらに含有量が少なく、健康効果を発揮するためにはかなりの量を食べなければいけません。

しかもゼアキサンチンは脂溶性であるため、高脂質の食事と一緒に摂取する必要があります。

加熱したとしても効果に変わりはないため調理はしやすいですが、ゼアキサンチンが効果を発揮するためには2mg~6mg以上摂取することが求められる為、ホウレン草やパプリカを1kg以上、何らかの油料理で食べることが必要となり、毎日食べるのは現実的とはいえません。

サプリから摂取

自然食品から毎日相応の摂取量を得ることが現実的ではないため、ゼアキサンチンを効果的に、そして確実に摂取するためには、サプリメントを活用するのがオススメです。

ルテインとバランスよく摂取することで、その効果は相乗的に発揮されていくため、食事での摂取を試みるよりも健康効果を得やすくなることでしょう。

ここで注意していただきたいのが、含有しているゼアキサンチンの種類です。自然食品を原料としたゼアキサンチンであれば良いのですが、ゼアキサンチン類似物質と表記されている場合には、その効果は保証できないものとなります。

ゼアキサンチン類似物質とは、メゾゼアキサンチンのことを指しており、メゾゼアキサンチンをサプリメントとして服用した場合の効果については実証されておらず、むしろルテインやゼアキサンチンと競合的に働くことで、効果を損なう可能性さえ報告されているのです。

まとめ

ルテインよりも抗酸化作用は強力ですが、摂取することはルテインよりも困難なゼアキサンチンについて紹介しました。

加齢などに伴う体内の酸化を予防してくれますが、その効果を実感するためにはルテインとバランスよく摂取することが必要です。

パソコンやスマホの光刺激にあふれる現代は、若年性白内障も増加傾向にあり、今後はゼアキサンチンなどの目を保護する抗酸化物質が、より重要な存在となることが予想されます。

日々減少していくゼアキサンチンなどの抗酸化作物質、自身の目の健康のために積極的に摂取していくようにしましょう。

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