「疲れ目」と「眼精疲労」は全くの別モノです。
視力改善をしたいのであれば、治療方法を探すよりも、まずは“現在の自分の状態”を知ることが重要です。
視力が悪くなってきた原因が「疲れ目」なのか。それとも「眼精疲労」なのか。
「疲れ目」と「眼精疲労」の違い比較表
それぞれの違いについて、簡単にまとめます。
疲れ目 | 眼精疲労 | |
判別方法 | 寝れば治る | 寝ても治らない |
期間 | 一時的 | 慢性的 |
目の症状 | かすみ、しょぼしょぼ | ピントが合わない、充血、ドライアイ、まぶたの痙攣、目の奥が痛い |
目以外の症状 | なし | 頭痛、肩こり、腹痛、吐き気、倦怠感、不眠、イライラ |
主な原因 | 一時的な疲れ | 毛様体筋のこわばり |
効果的な対策 | 睡眠 | アントシアニン摂取 |
疲れ目とは
「疲れ目」とは、“一時的” に目が疲れている症状です。
目に限らず、誰でも体の部位に疲れを感じることがあります。歩きすぎて足が疲れた、重い荷物を持っていて腕や腰が疲れた。これらと同じことです。
単なる普通の疲労ですので、目を休ませてあげたり、十分な睡眠を取ることで、1~2日程度で自然と解消されていきます。
翌日まで疲れを持ち越さず、朝目覚めた時に疲れが軽減されていれば、疲れ目です。
眼精疲労とは
一方で「眼精疲労」は、“慢性的” に目や体に様々な症状が出てしまう、目の病気です。
“疲労”という言葉が付いているので『単なる疲れ』だと誤解してしまい軽視しがちですが、重篤な状態です。
目を休ませたり睡眠では改善されることはないので、数週間~数ヶ月も辛い症状に悩まされることになります。
意図的に治療しようと思わないとなかなか治らないにも関わらず、放置している方があまりにも多いことが問題視されています。
1~2晩、十分に睡眠をとっても目に違和感が残る場合は、疲れ目ではなく眼精疲労であることを疑った方がいいでしょう。
※スマホ老眼については以下記事をご覧ください↓
眼精疲労によるカラダの症状
眼精疲労になってしまうと目に不調が起こるのはもちろんですが、カラダの他の部分にも不調が出始めてしまいます。
冒頭でも説明しましたが、眼精疲労は厄介な「病気」なのです。
「目」に出る症状
眼精疲労になった場合、毛様体筋は「筋肉痛」に近い状態になってしまっています。
目の症状としては、ピント調節がうまくできなくなることによる、視力低下がもっとも多いでしょう。
次いで眼球の痛み、まぶしさ、視力低下、クマ、深刻なドライアイも挙げられます。
眼精疲労による目の筋肉の硬直で、涙を出すのに重要なマイボーム腺と呼ばれる部位も機能低下してしまいます。
十分な涙を分泌することができず、眼球が乾きやすくなってしまうのです。
「目以外」に出る症状
眼精疲労になると、目以外の部位にも症状が出ることがあります。
比較的多いのは、
- 首・肩こり
- 倦怠感(だるさ)
- 頭痛(クラクラする)
- 嘔吐、不眠
などです。場合によっては風邪に似た症状だったり、関節が痛む、痙攣を起こす方もいます。
またこれらの不快な症状のせいで日常的にストレスを感じてしまい、うつ病になってしまう方もいます。
単なる目だけの病気ではないことが、この眼精疲労の恐ろしいところです。
眼精疲労の原因とメカニズム
結論を先に言いますと、眼精疲労は毛様体筋という目の筋肉が硬直してしまうことが原因です。
スマホやパソコン作業などの目を酷使する作業は、毛様体筋を痛めてしまうのです。
目の基本的な構造
まず、眼精疲労が起こるメカニズムの前に、目の基本的な構造について簡単に解説します。
そもそもですが、私たち生物は、モノそのものを見ているというよりは、モノから発せられる光を見ています。
角膜(黒目の部分)から入った光が瞳孔を通って水晶体で屈折し、硝子体を通って眼底の網膜に到達し、焦点を結びます。
この網膜に届いた光の情報が視神経中のロドプシンによって脳内運ばれ、脳によって断片的な光情報を再合成し、像を作ります。
このような仕組みによって、我々はモノを見ていることになります。
こちらの動画もわかりやすいです。
水晶体を調節する「毛様体筋」とは
こうして光情報をモノとして見ているわけですが、特に重要な役割を果たしているのが水晶体です。
私たち生物はモノを見る時、水晶体を厚くしたり、薄くしたりすることで光の屈折率を変え、ピント(焦点)を合わせています。
ピントを合わせることは言うまでもなく非常に重要であり、モノ(対象物)の輪郭や大きさ、奥行きや色などあらゆる情報を正確にとらえるためには、ピント調整は必要不可欠です。
そんなピント調整をしている -つまり水晶体の厚みを加減しているのが、「毛様体筋(もうようたいきん)」という筋肉です。
毛様体筋が縮んだり伸びたりすることで、水晶体の厚みを変えています。
近くを見続けると、毛様体筋は負担がかかる
- 近くを見る→毛様体筋が縮む
- 遠くを見る→毛様体筋は伸びる
近くを見る場合は毛様体筋が収縮(縮んで)し、水晶体を厚くします。逆に、遠くを見る場合は毛様体筋は弛緩(伸び切って)水晶体を薄くします。
簡単にわかりやすく言うと、以下のイラストのようなイメージです。
筋肉は収縮時には負担が大きく、弛緩時には負担が小さくなります。
二の腕に力こぶを作ってみると(上腕二頭筋を収縮させると)、負担が大きくなるのを何となく感じるかと思います。
このような理屈で、近くを見る時(つまり水晶体が厚くなる時)は、毛様体筋に負担がかかっていることになります。
毛様体筋の硬直によって眼精疲労へ
毛様体筋に負担がかかり続けていると、伸縮の働きが鈍ってきてしまいます。
パソコンや読書などの近くを見る作業を長時間続けると、毛様体筋がこわばってしまい、柔軟性を失うために、遠くのモノを見た時にピントを合わせるのが難しくなります。
ここまでの話をまとめると、以下の流れです。
- 近くを見続ける
- 毛様体筋に負担がかかり続ける
- 水晶体を調整できなくなる
こうして知らず知らずのうちに眼精疲労になってしまうのです。そしてその結果、ピントが合わなくなってしまい、視力が悪くなったと感じるのです。
毛様体筋を硬直させてしまう要因
目に過度な負担がかかると、毛様体筋にも負担をかけてしまいます。
主な要因としては、以下のようなものが考えられています。
長時間のパソコン作業
現代の仕事においては多くの場面でパソコンが活用されていますが、長時間のパソコンは眼精疲労へと繋がってしまいます。
パソコン作業のように長時間同じ姿勢で居続けると、眼球周囲の筋肉と眼球内部の筋肉がフリーズします。その結果、筋肉疲労を起こし、眼精疲労を起こすと考えられます。
また眼球周囲の筋肉と首の筋肉は、全身の筋肉と密接に関連しているので、肩などの上半身も筋肉疲労を起こします。
さらに結構が悪くなると、体にとっては良くない活性酸素が蓄積されてしまい、頭痛や肩こりの症状を引き起こしてしまいます。
1日3時間以上のスマホ
パソコン以上にダメージを与えてくるのが、スマホです。
至近距離で画面を見ることになりばかりではなく、ディスプレイから発せられる刺激の強い光(ブルーライト)によって、目に大きな負担がかかります。
ちょっとした隙間時間に利用することで1日あたり計3時間以上スマホを使っている方は、特に眼精疲労になりやすいので注意が必要です。
視力が悪いのに眼鏡を使わない
本来は眼鏡やコンタクトをするべき視力なのに、裸眼のまま生活していると、目に大きな負担をかけることになってしまいます。
無理やりピント調整するということは、毛様体筋に大きな負荷を与えてしまっているということでもあります。
眼鏡が合っていない
眼鏡をかけていても、度があってないために眼精疲労になってしまうことがあります。
必要以上の度を入れる過矯正や、入れなくてもいい乱視矯正などがこれに当たります。
コンタクトが合っていない
同様にコンタクトの度が合ってない場合も、原因になる可能性があります。
どちらかというとコンタクトは近視矯正(遠くを見るために)の目的で開発されていることが多く、近くを見ることに適していません。
近くを見ようとすると毛様体筋に負担がかかり、眼精疲労の引き金が引かれることになります。
老眼なのに眼鏡をかけていない
避けては通れない目の加齢現象、老眼になっているのに眼鏡をかけないと、これまた原因のひとつになってしまいます。
裸眼のままだと、なんとかピントを合わせようと目の筋肉を酷使することになり、その繰り返しから毛様体筋を緊張させ、眼精疲労になりやすくなります。
左右の視力が違う
普段は自分では気付かないですが、ほとんどの人が左右の目の視力はバラバラで異なります。
多少の違いは誰にでもあることですが、これが極端に違うと目に負担になります。
たとえば右目が遠視で、左目が近視のような場合。ピント調整しようと毛様体筋が疲弊するだけでなく、その視覚情報を処理しようとする脳までも疲弊します。
頭痛や倦怠感、イライラを起こしかねません。
毛様体筋を回復させるアントシアニン
眼精疲労の原因が、「毛様体筋」の機能低下であることはご理解いただけましたでしょうか。
眼精疲労を軽減するには、この「毛様体筋」の機能を正常に戻してあげるのが良いのですが、もっとも有効な成分とされているのがアントシアニンです。
ビルベリーやブルーベリーなどに豊富に含まれる成分で、毛様体筋を含めた眼球周辺の筋肉をほぐす働きを持っています。成分の詳しいことについては、アントシアンについてをご覧ください。
ベリー類などのフルーツに多く含まれているのですが、食事から必要十分量を摂るのはカンタンなことではありません。
アントシアニンを含んだ「目にいいサプリ」なら手軽&効果的なので、サプリで摂取するのがオススメです。
まとめ
疲れ目と眼精疲労は別モノであり、眼精疲労の方が深刻です。
現代社会においてパソコンやスマホなしの生活をすることはほぼ不可能ですので、自分自身の健康管理をしながら生活していくしかありません。
目は他の部位と違って、回復や治療が難しい器官です。目の疲れを感じたら、放っておかず、少しでもいいのでケアしてあげてください。
※眼病・目の症状については以下についてもまとめています。
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